情報大洪水の時代(その12)

某私大医学部医学科受験を急遽お父さんに依頼されて、

 

1ヵ月が過ぎたころ。

 

時間的に言えば4分の1は進んでいないといけないが、

 

現実はやはり甘くなかった。

 

 

とにかく時間が足りないし、

だからといってハイスピードでは進まない。

 

 

何もかもが新鮮な感じで学習をしていくその生徒。

 

それは別にいいのだが…、

 

「まるで1度たりともその授業を受けたことがないのでは?」

 

そうこちらが錯覚するくらい習ったはずのことが、

 

何も頭に入っていない。

 

(いや、正確には残っていないと言うべきか)

 

 

わかってはいたけれども現実を見て焦る気持ちが大きくなる。

 

4か月で教科書4冊分を頭に入れて、

 

なおかつ推薦入試に合格できる状態に仕上げる。

 

 

この1年間ずっと順調に来ていたのに、

 

最後にダメだったら「塾通いは無駄だった!」

 

と思われてしまう危険性。

 

 

しかし、無茶振りする親御さんに限って、

 

「一応、授業を受けているんだったら多少は残っているのでは?」

 

と楽観的に考えていたりする場合がほとんど。

 

 

だが、それは親御さんの希望であって現実はまるで違う。

 

 

 

この状態を何とかするのが塾講師なんだよっ。

 

 

…そう自分を奮い立たせてみるが…。

 

(続く)