塾講師のやる気の源とは?(その9)

総合問題の対策であれ、

大学入試2次試験の対策であれ、

本当に有効な指導をしようと思えば、

「生徒の思考経路」を追跡することになる。

 

(生徒の)思考経路とは、

問題を読んで解こうとするときの、

思考プロセスを言う。

 

例えばある問題を解くときに、

Aの要素(問題の要点把握)

Bの要素(解法の選択)

Cの要素(解法の組み合わせ)

Dの要素(論述の流れ)

Eの要素(減点ブロック)

主に5つの要素がある。

 

さらにこれらにはイメージで言うと、

A1→A2→A3→A4

B1→B2

C1→C2

D1→D2→D3

E1,E2,E3…

のようなプロセスを経る。

 

このプロセスを生徒の口から言わせたり、

生徒の答案を解析することで、

講師の頭の中に、

生徒の頭の中身をトレースするのだ。

 

何が生徒の思考経路の中で起きているのか、

それを講師として正確に把握することが、

「個別指導」の段階、

「個別分析」というものだ。

 

この技術を使うことで、

質の高い個別指導ができるのだが、

これがキャリア不足のアルバイト学生講師は、

どうしてもうまく出来ない。

 

ベテランの家庭教師で本物中の本物の、

指導技術力を持っている講師であれば、

このトレース技術を習得しており、

なおかつ生徒の志望校の入試問題の傾向も、

3~5年分くらい把握しているため、

最大限に効果的な個別指導ができるのだ。

 

先の例で言えば、

A2に問題点があればその1個前から

C2やD3に問題点があればその1個前から

該当する箇所とセットで同時に解説する。

最後にE1,E2,E3などのポイントは、

生徒の口から必ず1つずつアウトプットさせて、

それを講師がチェックするという工程で、

個別指導が終了する。

 

小さな白板が用意されており、

講師が1対1または1対2形式で、

個別指導するというやり方を採用している。

そんな個別指導塾はとても多いが、

それは正確に言うと「個別授業」であり、

トレース技術を使っていない。

生徒から質問があって講師がその場で答える、

この双方向性の実現が一見有効であるように、

思えるものの実際はテストでの「再現性」が、

低くなるためテストでの得点に結びつきにくい。

 

それは前後の関連性を生徒本人に「つかませる」、

この作業が抜けているためである。

 

「何でこの問題を間違っていたの?」

「塾では教えてもらってわかっていたんだよ」

「テストのときには忘れていたの?」

「…忘れていたのかなぁ」

「しょうがないわねぇ…」

 

この会話が親子で行われる決定的原因である。

 

 

(続く)