塾講師のやる気の源とは?(その16)(終)

当然ながら私は塾講師でもあるので、

この「不合格」には人一倍敏感。

とにかく嫌だ。

しかしこれよりもほんのちょっとだけ、

嫌なことがある。

 

それは(前回「気分が悪くなるとき」)で、

明記していたから今さらなのだが、

塾生がバカにされたとき、である。

これは正直言って許せない。

本音を言わせてもらうと、

もう少し言葉を足したときが、

1番腹が立つ。

「(北斗塾に行っていたから)落ちたんだよ」

「(塾長がバカだから)落ちたんだよ」

のように言われたときこそが、

1番腹が立つ!(…はずである)。

このセリフを直接聞いたことはないけれども、

結果的に自塾の生徒が受験で不合格になれば、

このように自塾の生徒が友人に言われる、

いや言われなくても思われる可能性がある。

それが私にとっては大きな問題であり、

塾生に恥をかかせる衝撃的な瞬間、

その状況をリアルに想像すると腹が立つ!

「絶対に言わせるか!」

そう心の底から力強く思える。

だから、

絶対に言わせないぞと誓って、

自塾に生徒を入塾させている。

実は30年近くずっとそうしてきている。

こんなこと話したのは今回が初めてだが…。

生徒の親御さんを悲しませたくないし、

生徒の泣き顔も当然だが見たくない!

 

やはり今でも29年前のあの日のことが、

忘れられない。

 

さて、

そのことはもういいとして、

同じようにバカにされるにしても、

塾生が学校の先生にバカにされる、

これもけっこう腹が立つ。

意外にも…これが多い。

 

Aくんにしても、

学校の担任からはバカ扱いされている。

もちろん冗談風に言っていることは、

想像に難くない。

だが、時々黙って聴いていると、

「これって、(信じたくないけど)

 本気で言っているんじゃないか?」

と思える時がある。

 

先生が生徒を、

軽い気持ちでバカ扱いしても、

実際には子ども(=生徒)は心の中で、

うれしくないと私は思う。

その場の雰囲気的に笑って応えていても、

(生徒の)本心ではそんなことを、

受け入れたくないはず…だ。

私はそう確信している。

 

「で、担任は何て言った?」

「あ、番数のことですか?」

「そうだよ、きみのクラスの中で!」

「オレの共通テストの成績っすね!」

「そうだよ…早く言えよ~」

「ジャジャ~ン、何と!」

「何だそれ…いいから早く、何て?」

「オレ…クラスで10番でした~!!」

「…ほらね」

「けっこう上だったんすよ!」

「…」

「ビックリしました~(笑)」

「その話…、お父さんには?」

「もち、しましたよっ!」

「で、何て?」

「お前がクラスで10番だったら…、」

「(ん、お父さんも同じか…?)」

「●●(Aくんの通う学校名)もまずいな~(笑)」

「(お父さんは)笑ってた?」

「はい、マズいぞ●●って(笑)」

「うれしそうだった…?」

「まぁ、それは…そうっすね(笑)」

「…ならいいんだよ」

「はい、あざ~すっ!(涙目)」

 

(終)