塾長の考え(速読力)

「速読って本当に効果あるんですか?」

 

あるお母さんからの質問だった。

速く読めればいいわけ?

素朴な質問だった。

「速読できれば頭が良くなる」

そう言っている人(先生)がいる、

そのことについて疑問があるという。

確かにそのお母さんの言う通りで、

速く読めればいいわけではない。

速読力は大事だが、

1分間に3000字読める、

だから難関大学にでも合格する。

あり得ない。

その前に大事なものがある。

それこそが、

「読解力」

ここで気を付けなければいけないのは、

学習する手順である。

読解力を養成するのには手間暇がかかる。

なぜならば文章を読解するという行為は、

単に「読む」ということとは違うからだ。

「読む」は声を出して教科書の文章を、

発声していくときにも使うが、

「読解」は文章だけに使う表現であり、

客観的かつ正確に理解するということ。

この力を養成してから後に、

速読をすることで高速処理の能力を、

鍛えるのならば有効。

では読解力を鍛えるには?

それこそが小学生の国語の学習、

あるいは中学生の国語の学習のだ。

この段階を簡単に飛ばして、

速読の訓練さえすれば頭が良くなる、

そう勘違いしている先生や塾講師がいる。

残念だが手順前後である。

「あれ、おかしいな…」

親御さんが現実的にそう気づくのには、

相当な月日が経ってからだろう。

安易に信じたのが運の尽き。

学校の先生や塾講師であっても、

勘違いしている人はいるのだから。

1.読解力の養成

2.速読力の鍛錬

この手順が正解。

速読訓練だけで出来るようになるほど、

大学入試の国語は甘くはない。

簡単な例を挙げる。

A君という中学生がいたとする。

日本人の読む平均速度は1分間に、

400~600文字であるが、

その子が仮に速読力があるとする。

A君が1分間で1500文字読めると、

高校受験の国語でどうなるか。

(時間は60分、約8500文字)

読む時間…11分。

解く時間…36分。

見直しの時間…13分。

一見理想的な気がするが、

ここで注意すべきことがある。

このA君は高校入試の国語が要求する、

読解(学力)レベルに達しているか?

ここがポイント。

小学校の高学年が読む本で1分間に、

「1500文字読める」

そう言われても入試は中3生の読解力、

それを要求している。

速読力を要求しているのではない。

2022年度の大学入学共通テスト。

これだとどうなるか。

(時間は80分、約21000文字)

読む時間…14分。

解く時間…48分。

見直しの時間…18分。

速読のスピードは1分1500字で十分。

それ以上は特には必要ない。

東大入試であっても変わらない。