塾長の考え(自立型個別指導)14

「あの…」

「うん、どうかしたの?」

「〇〇先生が、塾長に持って行きなさいって」

「あ、何かな?」

 

Kちゃん(1浪生)は毎日遠くから、

北斗塾予備校に通ってくる。

1時間半は電車でかかる場所から、

毎日、毎日、休みなく。

 

Kちゃんが私に見せてくれたものは…、

高校入試とほぼ同レベルの模試、

「数学の統一テスト」(中3)の答案。

 

「あ、遂に…」

「はい(ニッコリ)」

「いやぁ…、よかったね!」

「はい!」

「本当によかったね!」

「はいっ!」

 

答案用紙に書かれた点数は92点だった。

これは「合格」である。

 

やっとのことで抜け出た。

何から抜け出たかというと、

中学の数学の勉強からである。

 

4月10日に予備校に入学してきて、

7月10日に数学(高校入試レベル)で、

90点を超えた。

ピッタリ3ヵ月で到達した。

 

約束の期限の3ヵ月でやり遂げた。

 

予備校に入学した当初から、

北斗塾予備校の生徒は誰でも、

高校入試程度の問題において、

9割を超えた点数を取れなければ、

高校の学習内容の指導は「一切しない」。

 

国語は中学2年生の学習からやり直し。

英語は中学1年生の内容からやり直し。

数学は中学1年生の内容からやり直し。

 

これがKちゃんのスタートだった。

 

4月10日から始めて、

国語と英語は比較的早くに合格したが、

数学はなかなか合格しない。

50点レベルで何度も泣いた。

 

こんな状況だから、

中学1年生の内容からやり直し。

小学2年生のときに算数のテストで、

「20点」をとったときから、

ずっと算数と数学は悪夢の対象だった。

 

算数がきらい。

数学はもっときらい。

テストの点数は当然だがとれない。

 

中学数学でさんざんな思いをした上に、

周りのともだちからはバカにされる。

学校の先生からも、

「おまえはできない」

と言われ続けた。(実話)

 

結局、

大学受験まで足を引っ張り続けた。

(正確に言うと数学だけではないけど)

その元凶が「数学」だった。

 

ふつうなら高校2年時に、

この状態であれば「文系」に進みそうなもの。

それなのに、

将来の夢は「理系」でないと叶わない。

 

適性をとるか、

それとも夢をあきらめずに進むか。

 

迷ったあげく夢をとった。

自分の可能性を最後まで信じたかったから。

 

しかし、現実はまったく甘くない。

 

算数ぎらいの人間が、

中学数学で挽回することは難しい。

 

いつまでもいつまでも本人を苦しめた。

徹底的に苦手意識を植え付けさせられた。

これでもかこれでもか、と。

 

こんな状態で高校に進学しても、

今度の「相手」は「高校数学」である。

 

高校数学と中学数学は次元が違う。

中学数学ができていた生徒でも、

高校数学の内容になったとたんに、

あっさりと「土俵」の外に追い出される。

 

Kちゃんも例外なくそうなった。

 

小学の算数、中学の数学と苦しめられた。

あの小2のときの「20点」からずっと。

 

でも「中学数学」はとうとう克服した。

 

 

(続く)