塾長の考え(自立型個別指導)23

生徒はみな悩みを抱えて生きている。

 

人間はロボットではない。

感情をもつ生き物だ。

 

生徒は人間なので、

悩みがあると前に進むことができなくなり、

それがときには健康に害を及ぼすこともある。

 

日々いろいろなことがあるが、

「悩み」に対する解決方法をもっていないと、

勉強することさえままならない。

 

自立型個別指導の要諦は、

自立型の人間に育てるということである。

 

生徒を自立型の人間に育てる過程において、

「悩みへの対処法」の伝授は切り離せない。

 

先日もある高校3年生が、

 

「毎日不安でたまりません」

「毎日泣きたくなります」

 

と目に涙を浮かべて私に話してきた。

 

つい先月に北斗塾に入塾してきたのだが、

毎日勉強していく中でだんだんと事の重大さが、

わかってきたからこその発言だ。

 

今の自分の実力が合格にはほど遠いこと。

やることが明確になってくるたびに、

あまりにもその量が多すぎて驚いていること。

 

今からがんばっていけば本当に合格できるのか、

そのことを考えると不安でたまらないこと。

 

その生徒の言っていることはよくわかる。

 

なぜそのような不安が今になって起きてきたのか。

それは今まで現実を直視しないで生きてきたから。

 

「部活動が忙しいからしょうがない」

「今日は疲れたからしょうがない」

「まだ高1だからできなくても大丈夫」

「まだ高2だからできなくても大丈夫」

「高3の総体が終わったらがんばろう」

「1学期の定期テストが終わったら塾に入ろう」

 

そうやって現実をずっと直視せずに生きてきた。

今目の前には問題が生じているけれども、

 

「今やらなくても後から頑張れば何とかなる」

 

そう自分に言い聞かせて現実から逃避し続けた。

でもとうとうその現実に向き合うときが来た。

 

それが「今」である。

 

私に話しているそばから涙が目に浮かんでいる。

辛くて不安でたまらないといった様子だ。

 

そのまま話し続けていけば泣きだしていただろう。

 

「毎日泣きたくなります…」

「泣けばいいんだよ」

「え、…」

「他の高3生もみな泣きながら勉強しているよ」

「え、そうなんですか?」

「そうだよ、だから泣きながら勉強すればいいよ」

「あ…、はい…」

「それと、先のことを心配するのではなくて…」

「はい」

「今日1日に集中するんだよ」

「はい」

「今目の前のやるべきことを一生懸命やるんだよ」

「…はい」

 

結局のところ、

人の悩みというものはまだ来ていない未来に関するもの。

 

「明日」というまだ来ていない未来を思い煩うことで、

自分で「悩み」を生み出している。

 

人間以外の生物では考えられないことであり、

人間だからこそ「悩む」わけだ。

 

人間は只今(ただいま)に生きることが大事。

コントロールできるのは今という現在だけ。

 

「明日」は今の自分がコントロールできない。

「明日」にとらわれてはいけない。

 

悩みを解決するための方法の初手はこれだ。

 

 

(続く)