塾長の考え(防衛大学校受験)4

高校3年生のOくん。

どうしても防衛大学校に進学したい。

 

とうとう受験日が来週の土曜日に迫ってきた。

8月後半から、つまり、

お盆明けからずっと私は気にかかっていた。

 

「時間がなくなってきたぞ」と。

 

ここ10年間以上はずっとやっていない、

防衛大学の受験の対策。

 

受けた生徒はたくさんいる。

うちの塾生はほとんど合格しているが、

それは彼ら彼女らが勝手に合格しただけ。

学力が高い生徒たちだったから。

 

その生徒たちには対策を施さなかった。

それはその生徒たちが合格しても、

絶対に進学しないと宣言していたから。

 

高校の方針で受験をさせられていたから。

(合格実績確保のため)

 

まあ「公務員」になるのだから、

「進学」という言葉は適切ではないかも。

 

ただし、

そのときの生徒たちが受けた試験は、

「一般試験」であって、

実施は10月の最終週の土曜日だった。

今年も同じだ。

 

だが、

どうしても防大に行きたいOくんは、

来週の土曜日実施の「推薦試験」に臨む。

 

もちろん一般試験も受ける予定だ。

それならまだ今から1ヵ月と3週間後だ。

Oくんの学力の伸びがあるだろうから、

その試験ならば勝負になるはずだと思っている。

 

しかし、

来週の推薦試験には小論文がある。

 

この対策が私はしたかったのである。

合格レベルの小論文が書けるようになるには、

だいたい平均で今までの生徒ならば、

私の指導で2週間はかかる。

 

「え、たったの2週間で!?」

 

これはよく言われてきたが実際に可能だった。

 

ただし、

それなりの国語力がある生徒でないと無理。

 

さて、Oくんだが…。

 

「え、彼は生徒会長だったの!?」

 

その事実を知ったのはつい最近のこと。

それをもっと前から知っておくべきだった。

今になって後悔している。

 

それが事前にわかってさえいれば…。

 

わかっていなかったから何なのか?

 

打ち手が遅れた。

 

彼は生徒会長であるがゆえにこの数週間を、

忙殺されまくっていたのだ。

 

何にか?

 

体育祭である。

 

この準備に追われていたOくんは必然的に、

受験勉強の時間を大幅に奪われていたのだ。

 

なおかつ、

毎回塾に来るたびに疲労困憊状態。

 

眠い目をこすりながらの学習。

 

他の生徒たちは9月の半ばに受験ではない。

 

だから、

体育祭の準備に全力で取り組むことが可能。

そこに向けて全エネルギーを燃焼させようと、

毎日張り切って取り組む。

 

大多数の生徒にとって大学受験は、

来年の1月の共通テストだからだ。

 

しかし、

今回の推薦試験で合格したいOくんは、

来年の1月の試験には目もくれない。

 

試験は受けるが、

 

「進学に一切関係ないです」

 

そう強く言い切っているのだ。

 

そういうわけで今回の推薦試験。

これのウエイトは極めて大きい。

 

にもかかわらず、

毎日が体育祭のための準備で忙殺される。

 

「これは…マズいことになったな」

 

これが現在の私の心境である。

本人も同じような心境…のはずだが。

 

 

(続く)